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アメリカ特許法改正間近

アメリカ特許弁護士のムカイ先生(Mr. Robert G. Mukai: Buchanan Ingersoll & Rooney PC, 米国)が訪ねて来られました。
年1回のペースで定期的にいらして、アメリカの最新IP事情を話して下さいます。とてもよく準備されているようで、1時間程度の短時間にもかかわらず、すぐに役立つ情報をがっつりいただけます。お話はとても分かりやすく、優秀な方だというのがよく伝わってきます。
今回は、今年(2013年)3月16日施行の新法(とくにfirst-inventor-to-file system)についての解説。2月14日にアメリカ特許庁が施行規則を公表したそうで、とても嬉しい(?)バレンタインプレゼントだったとか。その公表したての規則について解説して下さいました。

結論としては、とても難しいです。

新法施行後の出願であっても優先日が新法施行前であれば、旧法適用の可能性があります。「可能性がある」と書いたのは、優先日が新法施行前であっても旧法適用になる場合があるからです。どちらが適用されるのか? それはクレームの内容によります。それも出願時のクレームだけでなく、審査の全過程でのクレームの内容がかかわってきます。いずれかの段階でのクレームが新法施行前に提出された優先権基礎出願にサポートされていない場合は、新法適用になります。一度、新法適用の状態となると、以後は、旧法への後戻りはできません。とても悩ましい問題です。

新法適用と旧法適用と、どちらが出願人に有利か? ムカイ先生の答えは、旧法です。主な理由は、新法と旧法とでは先行技術の範囲が大きく異なるからです。したがって、「3月15日までにアメリカ出願を終えなさい。」というのが、ムカイ先生の強力なお勧めです。
3月15日(正確には3月18日)までにアメリカ出願を終えるべき、もう一つの理由があります。それは、料金の大幅値上げです。

新料金は、3月19日以降に支払われる料金に適用されます。したがって、出願だけでなく、料金を伴う手続は、3月18日までに完了するのがお勧めです。(川崎)